・子供が治療で泣き叫ぶ姿を見るのがつらい
・歯科医院で「ぐるぐる巻き」にされることに驚いた
・固定が本当に必要なのか疑問を感じた
・子供がトラウマにならないか心配
・親としてどう接すればよいかわからない
子供の虫歯治療では、安全のために「体を固定する」という方法が使われることがあります。しかし、この方法に対して不安を感じる親御さんも少なくありません。この記事では、なぜこのような対応がされるのか、歯科医の意図と配慮、そして親としてできるサポートについてお伝えします。記事を読むことで、固定の意味や治療の背景がわかり、親子ともに安心して治療に向き合えるヒントが得られます。
子供の虫歯治療で「ぐるぐる巻き」にされるとは?
子供の虫歯治療に訪れた際、「ぐるぐる巻き」にされる光景を見て驚いた方も多いのではないでしょうか。これは「抑制具(ようせいぐ)」や「体幹固定具」と呼ばれるもので、暴れたり、急に動いたりすることによって起こるケガを防ぐために使用されます。特に小さな子供の場合、口の中の治療に対して恐怖や不安を感じてしまい、暴れてしまうことがあります。
「ぐるぐる巻き」と聞くと少しショッキングな印象を受けるかもしれませんが、これは子供を痛めつけるためのものではありません。むしろ、無理に押さえつけたりするよりも、身体全体をやさしく包むことで、安心感を与えるという側面もあるのです。柔らかい素材でつくられており、決して子供が傷つくことはありません。
また、短時間で治療を終えるための工夫でもあります。じっとしていられない子供にとって、歯の治療は大人以上にストレスのかかるもの。安全かつスムーズに治療を進めるため、固定具の使用が選ばれるのです。
この方法には賛否両論があるのも事実ですが、子供の安全を第一に考えた一つの手段として、多くの小児歯科医院で導入されています。初めて見ると戸惑うかもしれませんが、その背景には医療者側の深い配慮があることを知っておくと、少し気持ちが和らぐかもしれません。
なぜ子供を固定するのか?歯科医院の意図と目的
子供の歯科治療で固定が行われる最大の理由は、「安全性の確保」にあります。歯科治療では、小さな器具や鋭利な機材を使って細かい作業を行います。子供が突然動いてしまうと、口の中を傷つけてしまう危険があります。そのため、体をしっかり固定することで、予期せぬ動きを防ぎ、安全に治療を進められるのです。
また、固定には「治療時間の短縮」という意味合いもあります。動くたびに治療を中断してしまうと、子供の負担も増してしまいますし、治療自体も長引きます。固定することでスムーズに治療が進み、結果として子供が感じるストレスを最小限に抑えることができます。
さらに、固定は歯科医やスタッフの負担を軽減する効果もあります。治療に集中できる環境が整えば、その分ていねいで確実なケアを提供することが可能になります。これは、子供の健康にとっても大切なことです。
もちろん、歯科医院では固定の必要性を丁寧に説明し、親の同意を得てから行うのが一般的です。無理やり押さえつけるのではなく、子供の成長段階や性格を踏まえた上で、なるべく負担の少ない方法を選んでくれます。
つまり固定は、決して“怖いもの”ではなく、子供の安全と安心を守るために用いられる「やさしい工夫」のひとつなのです。
親が感じる不安や戸惑い
子供の治療中に「ぐるぐる巻き」にされている様子を見ると、多くの親は戸惑いを感じます。時には涙を流して嫌がるわが子の姿に胸を締めつけられるような思いをする方もいるでしょう。「本当に必要なの?」「かわいそうで見ていられない」と感じるのは、自然な感情です。
特に、初めて小児歯科を訪れる場合や、固定具について十分な説明を受けていない場合には、強い不安を感じやすくなります。「トラウマにならないだろうか」「歯医者が嫌いにならないか」といった心配も多く聞かれます。
こうした不安は、固定に対するイメージや、治療に関する理解の差から生じることが多いです。歯科医院側では、安全性を第一に考えた対応であっても、親の立場から見ると「押さえつけられている」ように映ってしまうことがあります。
また、「自分の子育てが悪かったのでは?」と自責の念を抱く親もいますが、これも誤解です。子供が治療を怖がるのはとても自然な反応であり、親の接し方に問題があるわけではありません。大切なのは、子供が感じる恐怖や不安に寄り添いながら、安心して治療を受けられるようサポートしていくことです。
歯科医院と連携し、治療の目的や固定の意義を理解することで、親の不安は和らぎます。心配なことは遠慮せずに質問し、納得したうえで治療に臨むことが、子供にとっても親にとっても大切なステップです。
子供の安心感を高めるために親ができること
歯科治療を怖がる子供にとって、もっとも心強い存在は親です。治療前後の対応や声かけ次第で、子供の気持ちは大きく変わります。では、親としてどのように関われば、子供が安心して治療に臨めるのでしょうか。
まず大切なのは、治療の前に「怖いことではない」と伝えることです。「痛くないよ」「すぐ終わるから大丈夫」といった言葉は、子供にとって安心材料になります。ただし、無理に強がらせるような表現は避け、子供の不安な気持ちを受け止めながら話すのがポイントです。
治療中は、子供が頑張っていることを肯定的に見守る姿勢が重要です。歯科医院によっては、治療室に付き添える場合もあります。その場合は、安心感を与える存在としてそっと見守り、過度な声かけや指示は控えましょう。
治療が終わった後は、しっかり褒めてあげてください。「よく頑張ったね」「えらかったね」と言ってあげるだけで、子供の自己肯定感が育ちます。次の治療への不安も減り、前向きな気持ちで歯医者に行けるようになります。
また、歯科医院との信頼関係も重要です。わからないことや不安なことは遠慮せずに相談し、納得したうえで子供に説明することで、親の安心感も伝わります。
子供は、親の表情や言葉から多くを感じ取ります。だからこそ、親が落ち着いた気持ちで接することが、子供の安心につながるのです。親子で一緒に乗り越えていく姿勢が、治療に対する恐怖心を和らげる大きな力となります。
終わりに
子供の虫歯治療における「ぐるぐる巻き」の固定は、見た目の印象とは異なり、安全で確実な治療を行うための手段です。親として不安や戸惑いを感じるのは当然のことですが、その背景には子供を守るという大切な目的があります。
固定具を使用する際には、子供の気持ちに寄り添い、治療の意図や手順について歯科医院から十分に説明を受けることで、納得と安心につながります。また、親自身が落ち着いて関わることで、子供の気持ちも自然と安定していきます。
子供の歯科治療は、一時的な経験にとどまらず、将来的な「歯医者嫌い」を防ぐうえでも大切なステップです。無理なく前向きに通院できるように、親子で信頼関係を育みながら進んでいきましょう。
不安や疑問があれば、ぜひ歯科医院と積極的にコミュニケーションをとってください。子供にとっても、親にとっても、納得と安心に満ちた治療時間となることが何より大切です。小さな経験の積み重ねが、健やかな成長につながっていきます。